マイナス5%ルール投資法は本当に賢い戦略なのか?

YouTubeで投資塾さんが「マイナス5%ルール投資法」という投資戦略を提唱してます。

【-5%ルール】個人投資家へ絶対に伝えたい投資術<前編> - YouTube

マイナス5%ルール投資法

ルール1:積立投資を休止しない

ルール2:一括投資先は積立投資銘柄と同一

ルール3:個別銘柄は触らない

ルール4:投資信託 or ETFを活用

ルール5:週間ベースで-5%以上下落した際に一括投資

ルール6:注文は金曜日でも月曜日でもどちらでも構わない

一見理にかなってそうなのでYoutubeのコメント欄では絶賛されてて、僕も最初は鵜呑みにしてた。

けど後からほんまか?と思い直し分析することにしました。



結論だけ知りたいひとへ

  • マイナス5%ルール投資法は上昇トレンドでは無駄

  • オルカン、S&P500勢は積立NISAの月額設定したら余計なことをしない。時間の無駄。寝てた方がマシ

  • 余計なことをしない



分析

詳細はこちら: github.com

ChatGPTと一緒に3時間くらいで書きました。

基本的に大きいところを外さなければ良いの精神でやってます。


前提

データについて

  • ACWI 2008-03-28 ~ 2024-04-05 をyfinance APIで取得(取得可能な最大期間)
  • 全部ドルベース

検証内容

検証1 投資戦略ごとの最終資産価値の比較

週次で750$、入金があるとする。入金は週次で20$増えるとする。

  • 戦略A: 入金をそのままその週の価額で購入する
  • 戦略B: 入金のうち75%をその週の価額で購入し、残りを貯金する。5%dropした時点で、その時たまっている貯金を全額その週の価額で購入する
  • 戦略C: 入金を全額貯金し、5%dropした時点で、その時たまっている貯金を全額その週の価額で購入する

分析が楽になるよう週次で設定。

また戦略AとBの最終資産価値の比較が出来れば良いので、比率さえ弄れれば値はどうでも良い。

入金を全額投資信託に回すわけないじゃないか!という系統のお叱りを受けそうですが、その場合各自"投資に回せる入金"など適当に言い換えて読んでください。
給与っぽい値にしたせいで語弊を生みそうなのは本当に申し訳ない

検証2 1の、前提の値を弄って比較

  • 週次で増える入金額: [0, 10, 100]
  • 入金のうち貯金に回す割合: [10%, 25%, 50%, 75%, 90%]

の組み合わせで戦略AとBを比較。

検証3 1の、期間を弄って比較

分析対象の期間を、2008 ~ 2024の任意の期間(1月1日)で切って比較。
e.x. 2010-01-01 ~ 2018-01-01


結果

検証1 投資戦略ごとの最終資産価値の比較

戦略A 戦略B 戦略C
最終資産価値 13815034 13728607 13469326

検証2 1の、前提の値を弄って比較

全パターンにおいて、戦略Aの最終資産価値 > 戦略Bの最終資産価値

検証3 1の、期間を弄って比較

全136期間(17C2)のうち、104期間で戦略Aの最終資産価値が高く、32期間で戦略Bの最終資産価値が高かった。


詳細は上に貼ったgithubリンクのJupyter notebookを見てくれ!



なんでこうなるの?

オルカンが上昇トレンド銘柄だからです。

貯金として取っておくこと自体が機会損失になります。

図 ACWI価額推移と5% drop point


例えばオルカン推移の上図の2012 ~ 2016 辺りのような5% dropが起きずにじわじわ上昇していく相場が最悪です。

貯金に回す分は本当にただ貯金しているのと同じなので、じわじわと全投資戦略との間に差が出てきます。
実際、戦略AよりもBの方がリターンレートは高いのに、最終資産で逆転してしまっています。まあ微々たる差ですが。



というわけで

マイナス5%ルール投資法は、長期上昇トレンドでは無意味なのでやめることをオススメします。

例えばある日まとまった入金があってオルカンに使えるという際も、下落を待たずその時点で突っ込むのが良いでしょう。
当然その直後大幅下落するという事も起きえますがそれは結果論です。背後には我々がマイナス5%ルール投資法に魅了されてしまう原因である損失回避性があります。


また、週1でのオルカンの価額チェック自体が、訳の分からない行動を引き起こしがちなこともあります。



ルールのために必要以上に現金比率を高めたり。

下落時に過剰に貯金を突っ込んだり。

挙句に損切りしたり。


人類は愚かなので。


オルカン勢は堂々と気絶して、他の有意義な事に人生の時間を使いましょう。

そんな記事でした。